訪問介護を運営する経営者にとって、今はかつてないほど厳しい時期です。2025年の最新データによれば、倒産件数は過去最多を更新しており、多くの事業所が限界に達しています。

このような悩みをもっていないでしょうか。

  • 資金繰りが苦しく、来月の給料を払えるか不安
  • 利用者の行き先をどう確保すればいいかわからない
  • 破産をすると家や財産をすべて失うのではないかと怖い

結論からいうと、経営に行き詰まったときは早めに弁護士へ相談し、法的な整理を検討しましょう。適切な決断が、利用者の保護と経営者自身の再出発に直結するからです。独断での閉鎖は大きなトラブルを招く恐れがあるため、正しい注意点を知っておく必要もあります。この記事を読み、現状を打破するためのヒントを見つけてください。

この記事でわかること

  • 訪問介護の倒産が急増している最新の背景
  • 倒産・破産手続きを進める際の注意点
  • 具体的な破産の手続きと必要な費用
  • 利用者や従業員への正しい対応方法
  • 経営者の生活を守るための法的な知識

【記事のまとめ】

訪問介護の倒産は2025年に3年連続で過去最多を更新しました。深刻なヘルパー不足や物価高に加え、介護報酬のマイナス改定が小規模事業所の経営を直撃しています。資金繰りが行き詰まった際、早期に法的な破産手続きを検討することは、利用者や従業員の混乱を防ぎ、経営者自身の生活を守るための前向きな決断です。独断での事業停止は賠償トラブルを招く恐れがあるため、注意点を踏まえた冷静な対応が求められます。新たな生活を始めるための再生の第一歩として、まずは専門家へお話しください。弁護士法人グレイスへご相談ください。初回相談は無料です。

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訪問介護事業所の倒産・廃業が急増している深刻な背景

訪問介護業界で倒産が急増しているのは、個々の経営努力だけでは解決できない構造的な問題が絡み合っているからです。まずは、客観的なデータから現状を確認しましょう。

【最新データ】2025年の倒産件数は過去最多を更新

2024年から2025年にかけて、訪問介護の倒産は歴史的な高水準に達しています。東京商工リサーチの調査によると、2024年1月から10月までの介護サービスの倒産件数は145件に上り、そのうち訪問介護が72件と約半数を占めています。

引用:東京商工リサーチ「「訪問介護」の倒産が3年連続で過去最多 ヘルパー不足、マイナス改定が響く、政府の支援がカギ」
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1202048_1527.html

この数字は、すでに前年の年間合計を上回る勢いであり、2025年もこの傾向はさらに加速すると予測されています。まさに「倒産ラッシュ」と呼べる異常事態が続いています。

東京商工リサーチの調査に見る「訪問介護」の苦境

同調査では、倒産した企業の8割以上が「売上不振」を理由としています。訪問介護は、施設介護に比べて設備投資が少なくて済むため、参入障壁が低いという特徴があります。しかし、その分キャッシュリザーブ(手元資金)が少ない小規模な事業所が多く、わずかな収支悪化が致命傷になりやすいのが実情です。

資本金・従業員規模から見る倒産しやすい事業所の特徴

データによると、倒産した事業所の84.7%が資本金1,000万円未満であり、94.4%が従業員10人未満の小規模事業者です。地域に根ざして活動してきた零細事業所が、物価高や人件費の高騰に耐えきれず、次々と市場から退出している様子がわかります。

2024年度介護報酬改定「基本報酬引き下げ」による致命的な打撃

倒産急増の大きな引き金となったのが、2024年4月の介護報酬改定です。この改定では、訪問介護の基本報酬が引き下げられるという、異例の判断が下されました。

小規模事業所ほど追い詰められる報酬体系の歪み

厚生労働省は、訪問介護の利益率が他サービスに比べて高いというデータを根拠に引き下げを行いました。しかし、このデータには大規模な事業所が含まれており、経営基盤の弱い小規模事業所の実態を反映していないという批判が強くあります。

全国保険医団体連合会が指摘する「利益率」の誤解

全国保険医団体連合会などは、この報酬改定が訪問介護の崩壊を招くと警鐘を鳴らしています。実際に、改定以降、小規模事業所では減収を補う手段がなく、赤字に転落するケースが後を絶ちません。

引用:全国保険医団体連合会「2024年度診療報酬・介護報酬改定に対する談話」
https://hodanren.doc-net.or.jp/info/news/2024-04-05/

加速するヘルパー不足と人件費・燃料費の高騰

報酬が下がる一方で、運営コストは上がり続けています。特に訪問介護特有のコスト増が経営を圧迫しています。

有効求人倍率15倍超という異常事態と採用コストの増大

介護業界全体の有効求人倍率は高い水準にありますが、訪問介護は特に深刻です。

ヘルパーの高齢化が進み、若手の確保が難しいため、わずかな欠員を補充するための採用広告費が膨れ上がっています。

物価高騰が訪問介護の移動コストを直撃

訪問介護は車両を使った移動が不可欠です。ガソリン代の高騰は、そのまま経費増に直結します。報酬が公定価格で決まっているため、民間企業のようにコスト増をサービス価格に転嫁できないことが、経営の首を絞める結果となっています。

訪問介護の倒産・破産の注意点

倒産や破産を検討する際、経営者が絶対にやってはいけないことや、法的に守らなければならない注意点があります。これらを怠ると、刑事責任を問われたり、再出発が困難になったりするリスクがあります。

独断でのサービス停止や「夜逃げ」が招く法的リスク

最も避けるべきは、何の準備もなく突然事業を停止することです。利用者の生命や身体に危険が及ぶような「介護放棄」と見なされると、損害賠償請求の対象になるだけでなく、保護責任者遺棄などの罪に問われる可能性すらあります。

利用者からの預かり金や資産の管理に関する注意点

利用者の預かり金(おむつ代や立替金など)を事業の運転資金に流用してはいけません。これは業務上横領などの罪に該当する恐れがあるためです。破産を決意したときから、会社の資産と個人の資産、そして預かり金を厳格に分ける必要があります。

特定の債権者への優先弁済(偏頗弁済)を避けるべき理由

お世話になった特定の取引先や親族への借金を優先して返済することは、法律で禁止されている「偏頗弁済(へんぱべんさい)」に当たります。これを行うと、後に破産管財人によって取り消されるだけでなく、破産手続きそのものが認められなくなる(免責不許可事由にあたる)可能性があるため、注意してください。

経営者が直面する「限界」のサインと決断の基準

「まだ頑張れる」という思いが、結果として被害を大きくしてしまうことがあります。以下のサインが現れたら、それは専門家に相談すべきタイミングです。

資金繰りの悪化(税金・社会保険料の滞納は危険信号)

借入金の返済のために新たな借金をするようになったり、税金や社会保険料の支払いを滞納し始めたりしたら、すでに経営は破綻しています。税務署による差し押さえが始まると、事業の継続は事実上不可能になります。

サービス品質の低下とヘルパーの相次ぐ離職

給与の遅配や労働環境の悪化により、質の高いヘルパーが辞めていくようになると、サービスの安全性も保てません。事故が起きる前に、適切な幕引きを考えるべきでしょう。

経営者自身の心身の限界と後継者不在の悩み

経営者が心身を壊してしまっては、利用者を守ることはできません。また、自身の引退後に事業を引き継ぐ目途が立たない場合、体力が残っているうちに「自主廃業」や「破産」を選択することが、最も責任ある行動といえることもあります。

訪問介護事業所が「破産」を選択する際の法的手続き

破産は、法律によって認められた「経済的再生」のための手続きです。正しく進めれば、借金をゼロにして再出発することができます。

法人破産と代表者の個人破産(連帯保証)の仕組み

多くの場合、法人の融資に対して代表者が連帯保証人になっています。そのため、会社を破産させるときは、代表者個人も同時に「自己破産」の手続きを取るのが一般的です。これにより、会社と個人双方の債務を整理します。

破産手続きの具体的な流れと完了までの期間

  1. 弁護士への相談・受任通知の送付(督促の停止
  2. 資産や債務の調査・書類作成
  3. 裁判所への破産申立て
  4. 破産管財人の選任・資産の処分
  5. 債権者集会、破産手続廃止、免責許可の決定

申立てから手続きの終結までは、半年から1年程度かかるのが一般的です。

破産にかかる費用(予納金と弁護士費用の目安)

破産には、裁判所に納める「予納金」と「弁護士費用」が必要です。

  • 予納金:少額管財の場合、約20万円〜
  • 弁護士費用:法人の規模によりますが、50万円〜

「費用がないから破産できない」と諦めず、まずは無料相談を利用してください。売掛金の回収分を費用に充てるなど、複数の方法を提案できることがあります。

倒産時に最も優先すべき「利用者」と「従業員」への誠実な対応

訪問介護の倒産において、最も重要なのは「人」への対応です。

利用者の「介護難民化」を防ぐための転所支援実務

事業を停止する1〜2か月前には、ケアマネジャーや自治体に報告し、利用者の新しい受け入れ先を探す必要があります。

ケアマネジャーとの連携と情報共有のタイミング

弁護士と相談しながら、混乱を最小限に抑えるタイミングで通知を行います。適切な引き継ぎ資料を用意することが、利用者の安全を守ることにつながります。

従業員の未払い賃金を確保する「未払賃金立替払制度」

会社に資金がなくて給料を払えない場合、国が給料の一部を立て替えてくれる制度があります。

この制度を利用するには、破産手続きが開始されていることなどの条件があります。弁護士のアドバイスを受けながら、従業員への説明を尽くすことが大切です。

引用:厚生労働省「未払賃金立替払制度の概要」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/shinsai_rousaihoshouseido/tatekae/index.html

解雇予告手当の支払いと従業員説明会の進め方

従業員を解雇する場合、原則として30日前までの予告が必要です。予告できない場合は解雇予告手当の支払義務が生じます。感情的な対立を避けるためにも、説明会には弁護士を同席させるなどの対策が有効です。

経営者自身の生活を守り、再出発するために知っておくべきこと

破産をしても、すべての財産を失うわけではありません。

自己破産をしても手元に残せる「自由財産」の範囲

破産法では、破産者の今後の生活のために、一定の財産を手元に残すことが認められています。

破産法第34条第3項-
破産者が破産手続開始の時において有する九十九万円以下の金銭は、破産財団に属しない。
引用元:e-Gov法令検索 破産法
https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000075

99万円以下の現金や、生活に不可欠な家財道具などは処分されません。

自宅や車はどうなる?資産処分に関する誤解と真実

持ち家は原則として処分の対象になりますが、賃貸住宅であればそのまま住み続けることができます。車も価値が低いものであれば残せる可能性があります。

「経営者保証ガイドライン」を活用した債務整理の可能性

一定要件を満たせば、破産をせずに債務を整理したり、自宅を残せたりする「経営者保証ガイドライン」という仕組みもあります。どの手法が最適かは、専門的な判断が必要です。

破産以外の選択肢はあるか?「事業継続」を模索する場合

もし、事業の一部に利益が出ている、あるいは優秀なスタッフが揃っているなら、以下の方法も検討できます。

事業譲渡・M&Aによる利用者と雇用の維持

他の介護事業所に事業を売却することで、利用者のサービスとスタッフの雇用を維持できる可能性があります。売却益で債務を圧縮できるメリットもあります。

民事再生手続きが適しているケースと困難なケース

民事再生は、借金を大幅にカットして事業を継続する手続きです。しかし、手続き中も運営資金が必要なため、赤字が続いている訪問介護事業所では、再生計画の認可を得るのが非常に難しいのが現実です。

訪問介護の倒産・破産問題を弁護士に相談すべき5つの理由

経営者一人で抱え込むのは限界があります。弁護士の力を借りるメリットは計り知れません。

1. 債権者からの督促・電話を即座にストップできる

弁護士が「受任通知」を送ることで、債権者は本人に直接連絡できなくなります。これにより、精神的な平穏を取り戻すことができます。

2. 利用者や行政への法的に正しい通知を代行・助言できる

通知のタイミングや内容を誤ると、大きなトラブルに発展します。実務経験豊富な弁護士が、スムーズな事業閉鎖をサポートします。

3. 資産の隠匿を疑われないよう透明性の高い手続きが可能

意図せず資産を動かしてしまうと、破産が認められなくなるリスクがあります。弁護士の管理下で手続きを進めることで、潔白を証明できます。

4. 経営者の「再出発」に向けたメンタル面でのサポート

倒産は人生の終わりではありません。弁護士は法的な味方であると同時に、あなたの新しい人生のスタートを支えるパートナーでもあります。

5. 未払い給与など労働トラブルの激化を防げる

従業員との交渉を弁護士が仲介することで、感情的な対立を防ぎ、労働法に則った解決を目指せます。

訪問介護の倒産・破産に関するよくある質問(FAQ)

Q. 破産費用が手元にない場合でも相談できますか?

はい、できます。完全に資金がなくなる前に相談することが理想ですが、残された資産の中から費用を捻出する方法などの相談も可能です。早めの相談が解決の幅を広げます。

Q. ケアマネや地域に倒産の噂が広まるのを防げますか?

手続きを開始するまでは秘密を厳守します。ただし、利用者の引き継ぎには周囲の協力が不可欠なため、適切なタイミングでの公表は避けられません。その際、混乱を防ぐ方法を一緒に考えます。

Q. 破産した後に再び介護業界で働くことは可能ですか?

もちろんです。破産が原因で介護の資格を失うことはありませんし、再びケアマネジャーやヘルパーとして活躍している方はたくさんいます。

Q. 同居している家族の資産も没収されてしまいますか?

原則として、破産者本人の資産のみが対象です。配偶者の預貯金や、家族名義の資産が没収されることはありません。ただし、家族名義を借りて資産を隠していると判断された場合は調査の対象になります。

Q. どのくらいのタイミングで弁護士に連絡すべきですか?

「来月の支払いが怪しい」と思ったときがひとつの指標となります。まだ会社に現金が残っている状態であれば、利用者や従業員への対応がより円滑に進められ、経営者自身の負担も軽くなります。

まとめ:訪問介護の経営で苦しむあなたへ。破産は「終わり」ではなく「再生」の第一歩

2025年、訪問介護を取り巻く環境は極めて過酷です。倒産が過去最多を更新している現状は、決してあなたの能力不足だけが原因ではありません。人手不足、物価高、そして不条理な報酬改定が、誠実な経営者を追い詰めているのです。

しかし、立ち止まっているだけでは状況は悪化する一方です。一人で苦しまず、専門家に相談してください。法的な破産手続きは、あなたが再び笑顔で生活を送るための正当な権利です。

利用者への責任を果たし、従業員の未来を守り、そして何よりあなた自身の人生を取り戻すために。まずは弁護士へその胸の内を聞かせてください。私たちは、あなたの新しい第一歩を全力でサポートします。