株式会社 運送業
外注費の増大及び燃料費高騰により資金繰りに窮した運送業の破産事例
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売上規模
- 年間売上約3億円
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従業員数
- 約20名
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不動産
- 有り
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負債総額
- 約4億5000万円
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債権者数
- 150名超
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個人債権者の有無
- 有り
債務の主な原因
「外注費の増大及び燃料費の高騰」
複数の拠点を有し大手有力企業からも委託を受けて運送業を営んでおりました。当初は売上も好調で金融機関から多額の融資も得られる状況にあったことから、大量の外注を出して事業を展開するようになりました。しかし、それに伴う外注費の増大で却って資金繰りを逼迫させるようになりました。このような状況から外注の比率の見直しを図りましたが、外注費の支払い過多に歯止めがかからないばかりか、燃料費の高騰により利益を更に圧迫する状態を招きました。その後、資金繰り対策として複数の外注先に手形を発行したが不渡りとなりました。また、外注先への支払いを滞らせたことにより、取引先が直接外注先に報酬を支払う事態にも陥ったことが債務を膨らませる要因となりました。
弁護士から見た事件のポイント
本件の最大のポイントは、会社が請け負ってきた運送業務の大半を外注先に再委託していた点、しかもその外注先の大半は個人事業主であった点が挙げられます。これらの個人事業主は自社で雇用する労働者と異なり、労働法の適用を受けず、あくまで委託料として報酬を支払うこととなります。そのため、同報酬請求権を有する個人事業主は破産手続において労働債権として優先的に保護されるものではなく、他の一般債権と同様、配当においても最も劣後する債権となってしまいます。本件においてはこの個人事業主が100名近く存在し、破産手続前においては問い合わせが殺到いたしましたが、弊所が代理窓口となったことにより、速やかに破産手続に移行させることができました。
結果
本件においてはこの個人事業主が100名近く存在し、破産手続前においては問い合わせが殺到いたしましたが、弊所が代理窓口となったことにより、速やかに破産手続に移行させることができました。
破産手続もスムーズに終結させることができましたが、本件は破産手続が円滑に進んだという点よりも、破産手続前における会社の混乱をいかに収束させ、迅速に破産手続の申立てを行うかが重要なケースでした。このようなケースにおきましては、窓口を一本化させることが事態の収束にとって最も重要といえるでしょう。