破産
株式会社 建設業

仕掛かり工事を複数抱えている状態における建設業の破産事例

売上規模

3億円

従業員数

12名

不動産

有り

負債総額

2億円

債権者数

約30社

個人債権者の有無

無し

債務の主な原因

 初代代表取締役が自らの人脈に根ざした営業を行って、受注を順調に伸ばしておりました。ところが、同代表が辞任し、新たな代表が就任して以降、同代表が営業に注力しなかったこと、固有の人脈も持たなかったことから、新規受注が伸び悩むこととなりました。加えて、建設業界における価格競争の激化や民間の受注額が安価になっていたこと等のあおりを受け、赤字を改善することができませんでした。そのような中、手形の振出等により何とか資金繰り改善を試みましたが、同手形を決済することができなくなり、破産を選択することとなりました。

弁護士から見た事件のポイント

 本件のポイントは仕掛かり工事が一定数存在したことから、同工事の出来高をどう回収するかが重要なポイントとなりました。仕掛かり工事が存在する場合、理論上は破産管財人に同工事を続行させて完成時の報酬を破産財団に組み入れるか、速やかに同工事を別会社に引き継がせ、破産者が支払いを受けるべき出来高割合を算定して出来高部分につき破産財団に組み入れることが考えられます。後者の場合、出来高割合に争いが生じることも多く、その場合には手続が長期に及びます。出来高割合をできるだけ迅速に確定させ、速やかに破産財団に組み入れることが手続き上重要です。

結果

 本件は仕掛かり工事代金も含め、未回収の工事代金として事前に入金される額を代理人として保全することができたことから、破産財団に多くの工事代金を組み入れることができました。また、仕掛かり工事においては工事現場において存在する資材が逸失したり、現場が荒れてしまうことがございますが、本件は事前にそのような事態にならないよう回避することができた点も破産手続を円滑に進めることができた要因でした。