株式会社 設計・監理業
代表者の体調不良、及び後継者の不存在が原因で破産に至った事例
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売上規模
- 年間売上約2億円
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従業員数
- 約20名
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不動産
- 有り
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負債総額
- 約6億9000万円
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債権者数
- 約80名
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個人債権者の有無
- 有り
債務の主な原因
「代表者の属人的な活動に依存していた営業形態」
破産者の営業形態は、代表取締役自らが営業を行い、仕事を受注してくるというものでした。ところが、同代表取締役の体調が悪化したことをきっかけに、営業力が一気に低下し、受注も減少するようになりました。
また、同代表取締役は営業を行うだけでなく、受注した案件の管理も行っていましたが、体調が悪化するにつれ、案件の進捗も滞るようになり、事業が立ち行かなくなっていきました。
弁護士から見た事件のポイント
代表者が営業による仕事の獲得から、仕事の遂行、納品に至るまで全て一手に引き受け、前線に立った経営を行っている場合、後継を誰にするかという問題が必ずつきまといます。近時、事業承継を課題とする事業主が多いのはまさにこの現状に直面しているからといえるでしょう。本件においても複数の役員から構成された会社ではあったものの、代表者以外が営業にもおいても実働においても能力やノウハウを有していないことから、適当な後継がおらず、代表者もそれ故破産やむなしと考えるに至った経緯がありました。それまでは順調に推移していた事業も、キーマンとなる方が実働から離脱するだけで事業継続が困難になった点が特徴的でした。それでも、従前の代表者個人の人望があって何とか破産手続に対する周囲の理解が得られた案件であったといえます。
結果
代表者が体調不良で破産手続に直接関与することもできないことから、弊所の代理人のみでほぼ全ての手続きを完結させることとなった珍しい案件でした。突然の代表者の体調不良という点もさることながら、従前より代表者自らが率先して営業や実稼働を行っていた経緯があったことから、債権者の皆様のご理解を得られての破産手続きとなりました。