株式会社 旅行業・ホテル業
銀行への返済だけでなく水道料も滞納していたホテルの再生事例
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売上規模
- 好調時には年間売上約17億円
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従業員数
- 約20名
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不動産
- 有り
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負債総額
- 約5億4000万円
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債権者数
- 80名
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個人債権者の有無
- 有り
債務の主な原因
「不採算事業を継続していたことによる赤字の常態化」
当初は旅行代理店業及びバス・レンタカー事業を営んでいましたが、前者については売上の大半を占めていた航空券の販売手数料収入が減少し、後者についても相次ぐ自然災害に見舞われ観光客が激減したことにより売上が減少しました。
依頼者は、法人全体の売上改善を図るため銀行から融資を受けてホテルを買収し、ホテル業を主要事業とする方針に転換しました。他方で、従前から展開していた旅行代理店業及びバス・レンタカー事業は不採算事業であったことから、前者については旅行代理店契約を解除し、後者については事業譲渡しました。
結果として、ホテル事業だけが残ることとなったが、不採算事業により累積していた赤字を解消することができず、民事再生手続の申立てを行いました。
弁護士から見た事件のポイント
本件は代表者の方が初回相談時から民事再生手続の申請を希望されていた点に特徴があります。複数の法律事務所を回られ、民事再生手続についての質問に対する回答が最も迅速かつ正確であったとの評価を頂いて弊所がご依頼を受けた案件でした。
本件の最大のポイントはホテル業を営みながら、金融機関による担保権実行や自治体による公租公課の滞納処分を如何に回避しつつ、民事再生手続を遂行していくかという点でした。本件ではホテルの土地・建物がいずれも自社所有でしたが、金融機関が民事再生手続の方針に難色を示し、担保権不実行を約する別除権協定の締結が困難であったことから、手続き中に方針を転換し、自社物件を売却したうえで賃借することによりホテル業を継続する途を選択しました。そのうえで物件の売却代金の一部を金融機関及び公租公課の支払いに充てる内容の再生計画案を立案しました。
結果
民事再生手続はスポンサーを募り、その者に経営権を譲ることで事業の再建を図ることが多い中、本件は代表者自らの経営権維持を前提とする自主再建を目指す民事再生手続でした。
自社物件こそ売却したものの、ほとんどの再生債権者からの賛成を得て、95%の債務免除(債権カット)、及び弁済期間を5年とする再生計画案が認可されました。また、再生計画認可決定後も代表者が経営権を維持することに成功し、現在もなおホテル事業の継続をすることができております。